油彩技法に使用するサンシックンドオイルの手作り方法。
乾性油を長期間太陽光に晒すと、サラサラだった油が増粘し、粘りが出てくる。
独自の処方で、生のポピーオイルからサンシックンドオイルへ加工。市販品のような褐色ではなく、淡色に仕上がっている。
サンシックンドオイル(sun thickened oil)とは、乾性油を、空気、日光、水に長期間晒すことで作られる油である。
酸化重合が進んでいるために高い粘度があり、また油と水の分子が結合しているため水との親和性がよく、テンペラグラッサや半吸収性下地の油性分として、エマルジョンを作る際の材料にも適している。
油彩技法では、油絵具に伸びのよさ、光沢、速乾性を与えるほか、オイリングアウト用の乾性油としても使用できる。
(1)
水と乾性油を1:1の割合で混ぜ、水の上に薄い油の層ができるようにし、その容器の上に透明なフタを被せる。容器を直射日光の当たる場所へ置き、水と油を一緒に定期的にかき混ぜる。
(2)
2~3ヶ月ほど直射日光の下に晒し、油に粘りが出て糸を引くようになったら、水と油を分離させるため、背の高い容器に移し替える。今回は、底を抜いた空容器を使用した。
容器の上にフタを被せ、油の表面が乾燥(酸化)して皮が張るまで直射日光の当たる場所に置く。
(3)
油と水が2層に分離するのを待つ。下のキャップを緩めることで、分離した水だけを取り出せた。
(容器の上部には、油が乾燥した際にできた皮が残っている)
(4)
そのまま油を保存容器に詰めると保管中に瓶の内部の圧力が上がって破裂する場合もある。これを防ぐために、油を100℃前後で40~50分間加熱し、過酸化物(peroxide)を減少させる。
(5)
もし油に水分が残っている場合は加熱容器の底に溜まるので、水分が含まれていない上澄みの油だけを別の加熱容器へ移し、仕上げの加熱をする。
(6)
熱を冷まし、保存容器へ油を移して完成
※この処方では油を加熱します。また、油を日光に晒す際に周囲に可燃物があると危険です。実際に行う際は火災や怪我のないよう、十分注意して下さい。
※この処方で生じた如何なる損害に関しても、責任を負いかねます。全て自己責任にて実行して下さい。